いつか聞いた話のつづき

今日も小説を書いて考える

パラレルの朝(短歌)

小説のなかにあなたを投げだして私は次の小説を書く

どうやって帰ればいいかわからない駅で降りたい 記憶を消して

パソコンをマックにすればなにもかもうまくいく可能性はある

アバターを見ればあなたがわかります」と言うあなたはだれなのですか

ふざけんな私がどんなにエロくても相手は選ぶと彼女は言った

穏やかな振替乗車の案内に悲哀はこれっぽっちも無いのに

「すごかった」知らない人の伝説を聞かされながら飲む緑茶ハイ

紙煙草 いまどきメールアドレスを聞いてくるやつがあるか、と笑う

お金さえ払えばどこまででも走る電車があれば明日乗るのに

「非日常」を求めた先にも「日常」があるのだ無人販売の芋


「最善を尽くしております」YouTube見てる時みたいな顔して

ログインも落とした覚えもないゲーム「眠った女は組み伏せられる」


私から見えないだけでパラレルに朝を受けとる人たちがいる

隣人が月を見ながらベランダで吸った煙草のにおいかもしれない

恋人の少し掠れた裏声が聴きたいだけのリクエスト曲

知りたくはないことだって知ってたい 掬った川の水が痛くて