いつか聞いた話のつづき

今日も小説を書いて考える

喋らない鯖(短歌)

ジャン・リュック・ゴダール観たことない彼とゴダール展に行くようなこと

恋人の弁当箱に隠れてたブロッコリーがずっと泣いてた

抗体も好感度もない若者の花火の煙ひとけのない東屋

この世界の反射青い醤油ざら無人販売の餃子浸し

ラディカルであることパッシブだったことラブレターのように覗きこむこと

ぜんぶプレイリストに放りこんでくれ不感症なんて死んでゆく言葉

蝉とり少年もやがて恋をするプールのあとのような火照りで

それぞれが意志を持ち川を遡る橋の上からそれが見えるか

テロリズム眠気とともに優しさも去るこどもを裏切ったテレビ

ヘローヘローヘローハウロウ吉田うどんスメルズライクティーンスピリット

ログインの回数で愛が量れるか冷たいパスタを巻いたまま寝る

君によく似た鳩だったから飼ってたそんな理由で手品師になった

君を全力で殴るつもりで煮るいいよね鯖は喋らないから

『室内でばりエアコンでも灼熱の方におすすめの映画10選』

控えめな男の子が急に歌うブルーハーツで「皆殺しのメロディ」

スクランブルですれ違っただけの人白Tシャツに「見えるのかおまえ」

審判が急にドリブルを始めた「ピッチの風を感じたかった」

月曜日私のいない教室をだれが一番乗りで汚すか