いつか聞いた話のつづき

今日も小説を書いて考える

僕たちの前世が鳥なら(短歌)

まだ明けてない空のこと見てると君のつくった歌まだおぼえていた

劣情と潮の満ち干きと沢庵の真ん中をいま黒板消しが

忘れたい夏の暑さがすさまじくベランダで全裸だった蝉を

コンビニまで行くならアイスをひとつグリーンランド山頂に降雨

好きという言葉と吸殻が増える君のログインを待ってる羊

会いたいと言いたいときに言えるなら困ったときはシュガーレイズド

ミスドグリムスパンキー聴きながら泣いてる汗じみのリュックサックと

コールアンドレスポンスしたいね「愛だよ」「愛かよ」若者の歌で

日焼け止めの落ちた路上急行が止まらない駅蛍光の緑

ろくなことしてないよねって笑い合うもし僕たちの前世が鳥なら

名づけられた犬と名前のない路地の傘ジャンクフードのような雨音

来ない電車を待つみたいに信じてみないか?団地の廊下が灯る

「君だって色々してきたわけでしょ?ぜんぶ時間と私のせいにしないで」

泣きながらつくったパスタ色ちがいの皿に描かれた天使のあくび

だれかの胸ぐらを掴んだ愛想笑いでだれかの非道をみとめた

「なんか雨降ってる?音が聞こえてる」そうかもねって窓も見ないで

髪を乾かしながらトーストを待つ「露骨な愛は弓のない矢だよ」